香り、味わい共に開いていて難しさのないのがダリオ・プリンチッチの個性。
ピノ・グリージョは古代クローンで圧倒的な力強さ、骨格を持ち唯一無二の存在です!
1993年に設立されたダリオ・プリンチッチ。フリウリのナチュラルワインの中心人物として、今では欠かせない存在になりました。
しかし、ダリオの実家は貧しい農家でワイン造りなど到底不可能な状態でした。
ではなぜダリオがこのような素晴らしい生産者になれたのでしょうか?
ダリオは友人である故スタンコ・ラディコンやグラヴネルのワインを飲み、その成功を見ているて自然とワイン造りに興味を持つようになります。そして、友人であるスタンコ・ラディコンに学び、ワイン造りを開始しました。
しかし、無名のダリオが造る濁ったワインが売れるわけもなく、地元の数軒のレストランと自分の経営するバールで販売し、生計を立てていました。
90年代、ヴィニタリー会場の通路部分にラディコン達とブースを出し、試飲させますが、その当時のソムリエやバイヤーは理解できず、欠陥ワインと言われ続けたなかで、唯一偏見なく味覚だけでワインを判断したのが日本だったのです。
そこから逆輸入される形で、イタリアのみならず世界中で人気となり、今ではイタリアのナチュラルワインの中心人物にまで成長。畑は10haまで拡張するに至ります。
ラディコン、グラヴネルの重く力強いスタイルで人気となった長期マセラシオンなのに対し、ダリオのワインは若い内から華やかで親しみやすい味わい!
今では30年以上のワイン造りを経験して、ここ最近のダリオのワインは深みを増しています。
土壌は典型的ポンカ。粘土質とシルト(砂岩質)が押し固められ、もろいスレート状になったものが主体で白亜紀~第三紀漸新世の泥灰岩が混じり込んでいます。
ミネラルが豊富で痩せている。適度に水分を保持しながら、水はけも良いので収量は減る。凝縮した果汁を得たい造り手にとっては理想的な土壌とダリオは語っています。
畑は全て自然農法で管理。極少量の銅、硫黄と自家製のコンポストのみが使われます。収穫1か月前まで下草は伸ばされ、畑の周囲には森が残され、生物多様性を維持しています。
果皮のタンニンを使って酸化から守りながら、果皮そのものの要素をできるだけ抽出するという、この地方で昔行われていた醸造をしながら、バランスの良い美味しさを目指しています。地域性を表現していく為に今の醸造に辿り着き、より強く地域性を表現する為、裏山の樫の樹を伐採して大樽を制作。地元の木の樽で熟成させています。
アンフォラが注目されるが、ダリオはコッリオに歴史のないアンフォラに興味はなく、この地域の伝統であるオーク樽、アカシア樽、チェリー樽、栗の木樽での熟成に拘ります。
セレッツィオーネは特に良い年の良い区画の葡萄のみ収穫を2週間遅らせ、通常より長く40日間マセラシオンする事で軽快さよりも重厚さや複雑味を出しています。
通常のトレベツは20日間程度のマセラシオンで、明るい果実と人懐っこく華やかな香りが特徴ですが、セレッツィオーネはラディコンのような力強く重厚なスタイル!
誰もが美味しいと感じる素直な美味しさ。個性を強くしながら、年々、ダリオのワインは完成度を上げています。